若者たちによる凶悪な強盗事件が多発する中、今年2月に埼玉県狭山市で発生した強盗致傷事件の被害に遭った70代夫妻が、当時の恐怖の体験を語りました。
会社役員のAさん(79)は週3回勤務し、同じく週3日デイケアサービスに通う妻(78)と2人暮らしで、趣味の畑作りをしながらのんびりとした老後を送っていました。しかし2月19日の午前3時50分頃、ガラス戸の向こうに灯りが見え、Aさんは目を覚ましました。近くに住む息子か孫が合鍵で探し物に来たと思い「おーい、誰かいるのかー」と声をかけましたが返事はなく、暗闇の中で懐中電灯の光が階下に降りてくるのを見て泥棒だと気付きました。
Aさんはリビングの扉を閉めて抵抗しようとしましたが、力づくで開けられました。中に入ってきたのは175センチほどの大柄な男で、真新しい40センチほどのバールを手にしていました。Aさんはバールで頭の目の辺りなどを数発殴られて血を流し、冷蔵庫の前で手と目を塞がれたまま座らされました。妻も頭を数回殴られてソファに移動させられ、「静かにしていろ」と命じられてうずくまっていました。犯人らは約30分間にわたり家中を引っかき回し、現金約13万円と、高級時計やネックレスなど貴金属11点(時価81万円相当)を奪って逃走しました。
犯人らは逃走時、家の固定電話の線を切断し、子機や携帯電話を水に浸して隠滅工作を図っていました。しかし、倉庫部屋にあったファクスの親機を見落としており、Aさんはそれを使って110番通報しました。妻は軽傷でしたが、Aさんは眼窩骨を骨折する重傷を負い、さらに後日、頭の中に血が溜まっていることが判明して頭に穴を開けて血を抜く大手術を受け、最近ようやく動き回れるようになったといいます。
埼玉県警は事件当日の午前8時頃、現場近くで車に乗っていた鎌田竜二、佐藤辰弥の両容疑者を職務質問し、車内からバールが見つかったためピッキング防止法違反容疑で現行犯逮捕しました。翌日には岩田咲人容疑者も同容疑で逮捕され、発生から約3週間後の3月3日には、17歳の少年を含む4人全員が住居侵入と強盗致傷の容疑で逮捕されました。さらに少年以外の3容疑者は、2月8日深夜に埼玉県内のコンビニ2軒に強盗に入った容疑でも再逮捕されています。
犯人らが事件後すぐに現場近くに戻ってきたのは、岩田容疑者を自宅に送るためでした。実は岩田容疑者は、Aさん宅の真向かいに住む老夫婦の孫で、2年ほど前から居候していました。普段から素行が悪く、勝手口が無施錠だったことを知っていて仲間を誘い込んだ可能性もあります。5月中旬、さいたま家庭裁判所川越支部は少年審判で、17歳の少年を逆送せず少年院へ送る決定を下しました。Aさんは「謝罪も弁済もないのに甘すぎる」と強い憤りを示しています。




