特殊詐欺グループの電話役(かけ子)を強制的に従事させる目的で、男性を国際空港まで無理やり連れて行ったとして、愛知県警は22日までに、組織の勧誘担当(リクルーター)とみられる34歳の男を逮捕しました。また、グループが拠点を置いていたカンボジアの施設内には「AIルーム」と呼ばれる空間があり、最先端の生成AI技術を悪用して被害者の目を欺いていた実態が浮上し、警察が組織の高度な犯罪プロセスの全容解明を進めています。
逮捕されたのは、住所不詳・職業不詳の鈴木恒輔容疑者(34)です。逮捕容疑は、仲間と共謀の上、特殊詐欺の実行犯(かけ子)として不法役務に従事させる目的を隠し、対象の男性を脅迫的な有形力を用いて拉致・拘束し、日本国内の空港まで無理やり連れて行った疑いが持たれています。
愛知・蟹江警察署などの捜査関係者によりますと、鈴木容疑者が属していたとみられる国際特殊詐欺グループは、東南アジアのカンボジア国内に大規模な不法拠点を構築していました。その施設内には「AIルーム」と称される専用の部屋が設置されており、日本の被害者に対してビデオ通話を発信する際、リアルタイム生成AIを悪用して通話しているかけ子の顔面を完全に別人の顔へとデジタル合成(ディープフェイク)して差し替えていた可能性が極めて高いことが判明しました。
さらにグループ側は、生成AIによる映像の処理落ちや不自然な挙動から偽装が露見する事態を回避するため、ビデオ通話の接続時間を敢えて「30秒程度」の極めて短い時間に限定。被害者に偽装した顔を認識させた直後、即座に通常の音声通話へと切り替えるという極めて狡猾な手法をシステム化していました。警察は鈴木容疑者の具体的な認否を明らかにしていませんが、闇バイトやSNSを通じた実行犯調達を行うトクリュウの重要幹部とみて、スマートフォンのフォレンジック解析(暗号化通信ログの復元)を進め、背後の最上位指示役の特定に向けて本格的な裏付け捜査を展開しています。

