マッチングアプリで出会った男性を「架空のバー」に連れ込み、多額の金員を脅し取ったとして、警察は無職の小倉拓実容疑者(26)ら男女8人を恐喝の疑いで逮捕しました。
容疑者らは去年11月、大阪・ミナミで20代男性から計約1000万円を脅し取った疑いが持たれています。手口は極めて巧妙でした。グループの女がマッチングアプリで知り合った男性をミナミの「バー」へ誘い、飲み放題5000円と説明して入店させます。しかし会計時に「頼んだ酒は別料金」と24万円を請求し、さらに「店の営業が止まっている」などと因縁をつけて、最終的に大金を脅し取りました。

しかし、この「バー」は本物の店舗ではなく、容疑者グループが偽名を使って前日にネット予約した、バー形式の「レンタルスペース」だったのです。室内には酒瓶が並ぶカウンターや間接照明が備わっており、一見すると本物の店舗と区別がつきません。オーナーはグループについて「敬語で挨拶する普通の若者だった」と驚きを隠せません。

同様の被害は各地で相次いでいます。愛知県の20代男性も、アプリで知り合った女性に「たまたま見つけた」とレンタルスペースの架空バーに連れ込まれました。看板やメニューを見て安心し、女性とゲームをしながら飲んでいたところ、店員役の男から「1杯2500円、計42万円」と請求され、ATMで24万円を支払わされました。男性が警察に相談して現場に戻ったときには、入り口の看板は消え失せていたといいます。
なぜレンタルスペースが悪用されるのでしょうか。ぼったくりバーの内情に詳しい関係者によると、ミナミ中心地の地価や家賃はここ10年で約2倍に上昇しており、固定店舗を構えるには初期費用が400万円近くかかります。一方でレンタルスペースなら初期費用はほぼゼロ、ルーム代だけで犯行を始められます。さらに弁護士は「その場限りの営業にできるため、警察が摘発しにくい構造になっている」と指摘します。
仲介企業「スペースマーケット」は、本人確認や不正利用者の制限などの対策を強化しています。専門家は身を守る対策として、「行く店を事前に相手から聞き出しネットで検索すること」を推奨しています。通常の店舗と違い、レンタルスペースは検索結果に表示されないため、見分ける重要な防犯手段となります。



